ホテルのせ川 支配人
中村 雅昭さん
奈良の西南部の山間を縫ってようやくたどり着いた野迫川村は、まるで天空の隠れ里のよう。平均の標高が800〜900メートルあり、夏は涼しく、冬は雪深い地域である。季節ごとに表情豊かな自然と、アマゴやマツタケなどの山の恵みを求め、秘境を訪れるファンも多い。「ホテルのせ川」は、観光客のニーズに応えながら、ゆったりとした「時間」と、地元食材にこだわった「食」を提供している。その名物支配人が中村雅昭さんだ。
大阪のホテルで働いていた経験を買われ、平成7年に副支配人として勤務。刺身などを止め、カモ、イノシシ、キジの肉が楽しめる「カシキ鍋」など独自のメニュー開発やサービスにこだわり、お客さんの人気を集めていた。一時期、ホテルを離れたものの、2011年7月に、6年ぶりに復帰。久々に帰ってきた中村さんを待っていたのは、慣れ親しんだ村民たちの笑顔だったという。
「野迫川村は昔の日常が残る人情味あふれる村。人が困っていたら助け合う心がある。希薄といわれる人間のつながりもここ野迫川にはあるんですよ」。例えば、タイヤのパンクや、脱輪で立ち往生していたら、通りがかった人が手伝う。大阪で住んでいるより、野迫川の方が安心だとか。「皆さん面倒見がいいんですよね」と笑みをこぼす。
台風12号では、水害で7日間にわたって停電。冷蔵庫にあった食材は、すぐに避難所に提供し、ホテルの温泉も無料招待した。「観光客だけでなく、住民が集い、憩う場所になれたら」と話す。「野迫川にあるホテル」ではなく、住民も巻き込み、「野迫川のホテル」にするのが夢だそうだ。
そのためにも食材は、地産地消にこだわる。年中採れるアマゴはあらいや塩焼き、南蛮漬けなど、さまざまなレパートリーがあり、食通をうならせる。そのほかにも村で作られた太めん(通常の素麺より太いもの)や、ワサビ、シイタケ、野菜など、天空に近い環境で作られた素材そのものが持つ「旨み」を引き出すような調理を心がけている。特に朝食に出されるアマゴの干物は絶品。
「多くの人が非日常を求めて旅に出る時、国道も信号もコンビニエンスストアもない、その上、携帯電話の電波も限られたこの村は、まさしく秘境。ここでお客様が日ごろの喧噪を忘れ、ゆったり、ゆっくり過ごすことができるような空間づくりに力を注いでいきたい」と中村さん。水害の風評被害で、なかなか客足は戻らないものの、焦ることなく、ゆっくりと、そして確かに自分の信念を貫いていく。
金剛三昧院入り口で分かれた小辺炉は、女人堂跡の残るろくろ峠、薄峠、大滝の集落を過ぎ、高野龍神スカイライン、林道タイノ原線の舗装道を歩くことになりますが、水ヶ峰屋敷跡や平辻の道標の周辺に古道の面影を見ることができます。
萱小屋跡を過ぎ桧峠を越えると、いよいよ伯母子峠です。伯母子峠から15分程登ったところにある伯母子岳からは360度広がる景色が望めます。
金剛三昧院入り口で分かれた小辺炉は、女人堂跡の残るろくろ峠、薄峠、大滝の集落を過ぎ、高野龍神スカイライン、林道タイノ原線の舗装道を歩くことになりますが、水ヶ峰屋敷跡や平辻の道標の周辺に古道の面影を見ることができます。
萱小屋跡を過ぎ桧峠を越えると、いよいよ伯母子峠です。伯母子峠から15分程登ったところにある伯母子岳からは360度広がる景色が望めます。